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milumo コラム集

メガネのバカヤロー


Vol.05 双子の視力は同じ?

 

黒渕トオル
黒渕トオル

「生涯、黒縁メガネ。」と決めこむ、兼業フリーライター。眼鏡業界を、独自の視点で書き綴る。

とある車内にて、どう見ても“双子”の女子学生が話している。中学生くらいであろうか。他の友人とは少し距離を置いた所で、二人仲良く話していた。楽しそうに話している姿は、私が持っていた双子のイメージと少し違っていた。

 双子といえば・・、小さい頃から服や髪型まで仲良く一緒、食べている物も大体一緒だから体型も同じ。買ってもらうオモチャも仲良く一緒か、色違い・・、そんな印象がある。
しかし、それも小学生くらいまでで、部活や進路が異なりそれぞれの友達が出来ると、兄弟姉妹のような、“適度な距離感”を持つ様になるのだ。
 私の学生時代にも何組か双子の同級生がいたが、一緒に登下校していたのは小学校までで、中学・高校となるとそれぞれ仲の良い友達と行動を共にしていた。もちろん仲が悪いわけでは無いが、距離を置いていた二人を見て、「双子はこういうものなのか・・。」そんな風に少し“残念”な気持ちになったのを覚えている。

 「残念」に思ったのには理由がある。双子が活躍するアニメや、デュエットソングを双子ならではのハーモニーで歌うアイドルを見て、兄弟姉妹とは違う、特別な存在が身近にいる事に憧れを抱いていたからだ。今でも、テレビなどで活躍する双子タレントを見ると、「仕事終わったらそこまで仲良くないのかな・・。」などと、妙に現実的な目線で見てしまう様になってしまった。

 そんな、“いつまでも二人仲良く、すべてが一緒”の双子は、きっと存在しないだろう・・。そう長年決め込んでいた私の前に、この双子の女子学生が現れたのである。

 この二人、とにかく全てが一緒。
髪型や背丈はもちろん、カバンに着けたキーホルダーや、携帯電話の機種も色も同じ。何の話をしているかは分からないが、笑うタイミングまで一緒なのだ。
 そして同じ物もう一つ…、かけているメガネ。

 顔がそっくりであれば、似合うフレームも同じなのはなんとなく理解出来る。しかし、そこを色違いにするのではなく、“お揃い”にするあたりが、他の双子とは違う何かを感じさせる。二人揃ってメガネ屋に行き、仲良さそうに買い物をしている姿が目に浮かんだ。店員も、“同じ商品”を一度に二つ用意する、稀なケースにおそらく混乱しただろう。

 同じ商品・・??

 そこで私は、驚くほどくだらない事がどしようもなく気になってしまった。

「視力も同じなの!?」

こればかりは、二人には聞けない。いや、聞くのは意味が分からない。まるで観察していたかの様に思われても否定できないからだ。ここは冷静に、そして勝手に、推測する事にした。

 何もかもが一緒の双子。一日の生活を考えてみよう。
朝、通学等で起床時刻が同じだとしたら、多少の寝付きの悪さを考慮しても、だいたいの睡眠時間は同じ。朝晩の食事も同じ。お弁当でも、給食だったとしても、おそらく昼食の内容も同じであろう。勉強の時間は、学習机が仲良く二つ並んでいる事を想定すると、ペースを合わせそうなものである。視力低下の原因と考えられる、テレビやゲームの時間も、二人一緒に楽しんでいたとしたら飽きるタイミングも同じなのではないだろうか。
 そう考えると、育まれる視力に大きな差は無いのではないかと、素人目線で考える。

やっぱり同じなのか??

推測し始めるとキリがないもので、一方でこんな可能性も浮上して来た。例えば学校で“席替え”があったらどうだろう。入学当初は、いわゆる「あいうえお順」で席順が決められる事が多いので、苗字が同じ二人は、列の切れ目でない限り同じ様な席位置だ。しかしこの“席替え”によって、黒板までの距離にお互い大きな差が出来たとしたら・・。
 そしてこんな可能性も。仲良しの二人でも、興味を持つ事には違いがあるかもしれない。一方が星に興味を持ち始め、頻繁に星空を見上げる様になったら・・。お互い好きなマンガ本ではあるが、一方が何度も読み返す様になったら・・。少しづつ視力に差が出てきてもおかしくは無い。

 これだけ色々な可能性が転がっていると、現実的にはやはり双子の生活、もっと言えば視力に関わる環境を統一するのは難しいのかもしれない。

 視力に差が出てきたとして、メガネレンズの補正度数には当然ながら違いが出てくる。一方はかなりの近視でメガネ無しでは生活出来ない程。もう一方は比較的軽度な近視で、メガネが無いと遠くが霞む程度、同じメガネに見えて実はレンズが違う・・、という結果も考える事が出来そうだ。
 レンズが違うだけなら良いのだが、もしも一方が補正を必要としない視力だったら・・、「なんでメガネかけてるの?」という話になってしまう。これはこれで困る。推測の範囲が大きく広がってしまうのだ。

 もうここまで来ると・・、推測ではなく“妄想”に近い。

 「メガネをかける必要が無いのに、なぜメガネをかけているのか。」その理由を、懲りずにまた考え始める。

 この二人、物心ついた時には、もうお揃いの洋服を着ていたのだろう。なぜなら両親が買い与え、着させていたからだ。これが、もし違う色や柄だったら「あっちが良い!」だの、「一緒が良い!」と、だだをこねていたかもしれない。両親の双子姉妹への配慮がこのお揃いの洋服なのだ。そして不思議な事に、小さい頃に関しては、平等の法則みたいなものが効果を発揮する為、「一緒じゃ嫌だ。」という不満はあまり出にくい。自然な流れで二人は、同じ物を持つのが“あたりまえ”の様になっていったのだろう。多くの場合、この“あたりまえ”に違和感を感じ、個性を主張し始める年齢がそれぞれにあるはずなのだが、この双子の女子学生にはその感覚が、未だ無い様に見受けられる。
 そう考えると、一人がメガネをかけ始め、その姿を見たもう一人が「私も一緒に。」と、レンズに補正の無い、オシャレメガネをかけた可能性もあり得るわけだ。

「あれ?ただ、フレームお揃いなだけなの!?」

もはや、答えは迷宮入り。二度とあの双子に会う機会が無いとしたら、真相を確かめる方法は無く、妄想は膨らむばかりである。

 一卵性双生児の“双子”はそっくりだと言われているが、それは顔など容姿の話であって、視力を含む様々な能力の類似性に関してはあまり知られていない。また、よく耳にする“親族間での視力の遺伝”についても、裏付けされる様な大きな結果は出ていないようである。    
 しかしながら、生活環境に大きく影響される視力。他の家族と比べても、ほぼ生活の全てを共にする双子の視力が、同じとはいかないにしても、近いものになるのは自然な事なのかもしれない。